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2008年10月27日

映画道楽 - 鈴木敏夫


Title: 映画道楽
Author: 鈴木 敏夫
Price: ¥ 1,575
Publisher: ぴあ
Published Date:

ジブリのプロデューサー、鈴木敏夫さんの映画論。
子供の頃から彼が影響を受けてきた映画(やっぱりすごい人はいい映画を沢山見ている!)をはじめ、ジブリ設立前からハウルに到るまで彼が関わってきた仕事や、彼が映画に関して感じていることをリラックスしたムードで語っていて、大変面白い本だと思う。

自分が知っている映画もたくさんあったし、彼が紹介している中で是非見たいと思った映画も多い。現代人が身体的でなくなっていることがアニメーターに与えている影響などなど、なかなか興味深い意見もあった。

映画がアナログなもので、肉体的なもので、あくまで泥臭いものである、というのは本当にその通りだと思う。映画に限らず、最近の「コンテンツ」は無味無臭になりすぎだと感じる。

ジブリの原点は「太陽の王子ホルス」にあって、宮崎駿夫さんが本当にやりたかったことは「風の谷のナウシカ」でやり終えているんじゃないかと思っているのだけど、やっぱりこの読みはある程度当たっているっぽいなぁ、と実感した。

2008年10月26日

パワー - ル=グウィン


Title: パワー (西のはての年代記 3)
Author: アーシュラ・K・ル=グウィン
Price: ¥ 2,205
Publisher: 河出書房新社
Published Date:

「西のはての年代記」シリーズの最終巻。
ボリュームのある本だけど、前の2冊に比べて物語の展開がダイナミックなので、グイグイと引き込まれて一気に読んでしまった。

シリーズを通して物語の舞台と主人公がガラリと変わっていき、様々な立場や世界観の中から物語が語られる。最終巻では、不思議な能力を持つ一族に生まれながらも、幼い頃に奴隷狩りに遭って奴隷として成長してきた少年が主人公。

このシリーズの主人公には、以下のような共通点があるように思う。

- 何かしら与えられた力を持っている
- その力に対する理解のない人や社会による抑圧を感じている
- その社会と正面から向き合いつつも、様々な生き方を学ぼうとする

「授けられた能力」や「言葉の力」、それに「人が社会で活きていくための力」といったテーマが物語の軸としてしっかりしている印象を受けた。

2008年10月23日

千々にくだけて - リービ英雄


Title: 千々にくだけて
Author: リービ・英雄
Price: ¥ 1,680
Publisher: 講談社
Published Date:

日本在住のアメリカ人の視点で、911のテロを扱った小説。
著者の方が実際に遭遇した状況(帰省のためにアメリカに向かう飛行機が経由地のカナダで足止めを食らった)を描いたものらしく、短いながらもリアルな描写と緊張感に溢れた作品となっている。

なんといっても主人公の立ち位置の独特さが面白い。
アメリカのことに興味を持っていない日本在住のアメリカ人が「テロ」という非日常的な状況を目の当たりにした際の心の揺れが生々しく描かれている。英語で語られる「テロ」と、日本語で語られる「テロ」との間を主人公の意識は行ったり来たりする。

2008年10月22日

ドーピング毒本


Title: 北京五輪もヤバい!? ドーピング毒本 (洋泉社MOOK)
Author:
Price: ¥ 1,050
Publisher: 洋泉社
Published Date:

現在のドーピング事情を様々な視点から見つめた本。
それぞれの記事が「ドーピング」というスポーツ界におけるひとつの現実にしっかりと踏み込んだ内容になっていて、なかなか読ませる。

近代スポーツの鬼っ子としてのドーピング、ドーピングの倫理的問題、ドーピングの効果と副作用、進化を続けるドーピング、実践的なドーピング・ダイエットなどなど、ドーピング問題を知る&考える上で、豊富なネタが詰まっている。

2008年10月16日

エンゾ早川の体型大全 - エンゾ早川


Title: エンゾ・早川の体型大全
Author: エンゾ早川
Price: ¥ 1,365
Publisher: 自由国民社
Published Date:

うまいのか下手なのか分かりにくいイラストを使って、様々な姿勢に現れる「その人の人となり」と「エンゾ早川氏の美学」を語った本。
まぁ、暇つぶしにはよいかも。

2008年10月10日

ヴォイス - ル=グウィン


Title: ヴォイス (西のはての年代記 2)
Author: アーシュラ・K. ル=グウィン
Price: ¥ 1,680
Publisher: 河出書房新社
Published Date:

ムフフフ、と笑ってしまうくらい素敵な物語。

ゲド戦記も好きだけど、「西の果ての年代記」シリーズは主人公が切り替わっていくことで物語にさらなる深みが与えられているように思う。毎回毎回テーマが少しずつ変わっていくのだけど、それまでの物語と上手に調和を取ることで、多重的にひとつの世界観を楽しむことができる。ハ~モニ~。

2008年10月08日

考具 - 加藤昌治


Title: 考具―考えるための道具、持っていますか?
Author: 加藤 昌治
Price: ¥ 1,575
Publisher: 阪急コミュニケーションズ
Published Date:

とても上手に書かれた「アイディアの出し方・まとめ方」本。

カラーバス、メモ魔、マインドマップ、マンダラ図、オズボーンのチェックリストなどなど、色んな面白いツールが紹介されている。別にアイディアが欲しくて読んだわけじゃなかったのだけど、カラーバス(=「今日は“赤”」みたいに日ごとに色を決めて、街を歩くときにその色に注目することでアイディアのネタを収集するテクニック)なんかはすぐにでも試せるからチャレンジしてみようかな。

そういえば、大学の時に就職活動していた頃は、自分が何をやりたいかをまとめるために大量のメモをノートに書き込んでいたなぁ。会社に入ってからも、仕事と関係ないことをちょくちょく書き込んでいたっけ・・・。

すぐ何かの結果に結びつかせる必要はないにせよ、日頃からアンテナを張って面白いものに見て耳を澄ませるようにしておけば、貴重なアイディアのネタを蓄積できるんじゃないかと思った。

2008年10月03日

海峡を渡るバイオリン - 陳昌鉉


Title: 海峡を渡るバイオリン
Author: 陳 昌鉉, 鬼塚 忠, 岡山 徹
Price: ¥ 1,890
Publisher: 河出書房新社
Published Date:

作者のエージェントをやっているという鬼塚さんが手がけた本を読んでみよ~シリーズ2冊目。
とても面白い本だった。

時代に波に揉まれながら、たくさんの不条理に悩まされながら、「これだ」と思ったバイオリン製作を諦めずに情熱を燃やし続けた人の記録。
著者の常に前向きな姿勢が印象的。