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2008年07月21日

やった。 - 坂本達


Title: やった。―4年3カ月も有給休暇をもらって世界一周5万5000キロを自転車で走ってきちゃった男
Author: 坂本 達
Price: ¥ 1,785
Publisher: 三起商行
Published Date:

自転車で世界一周旅行をした人の本。
世界中を巡り、数え切れない思い出を持ち帰った人の記録。

会社から有給をもらい、スポンサーをつけて挑戦できたのは、とても恵まれたことだと考えることができるけれど、もちろんこれは著者の坂本さんの人柄に依るところも大きいのだろう。

行動力って意味でも、パワフルさって意味でも、色んな人たちと仲良くやっていくことの大切さという意味でも、学ぶべき事の多い記録だと思った。

読んでいると、少しずつ元気が出てくる素敵な本。

2008年07月20日

間違いだらけの自転車選び - エンゾ早川


Title: まちがいだらけの自転車えらび―幸福な自転車乗りになるための正しいロードバイクの買いかた
Author: エンゾ早川
Price: ¥ 1,575
Publisher: 双葉社
Published Date:

相変わらずのエンゾ節。
相変わらずツッコミどころが多いけど、ロードレーサーに関する経験値が上がってきたことによって、彼の意見の中で納得できる事も増えてきた。ロードレーサーのスタイルに関する議論は、「すきずきだからどっちでもいいじゃん」なんて意見もあるのかもしれないけど、そういうところにこだわるからこそ「ロードレーサー」が「ロードレーサー」たりうるのだよなぁ、と思ったりもする。

カーボンフレームに関する議論はなんとも言えないけど、自分のMaster X-LightがVX Eliteに比べて遜色のない走りをする、ということだけは実感としてある。フレームの素材とかコンポーネントにこだわるよりも、もっと他にこだわるところがあるでしょ~ってのはまさにその通り。

彼が言いたいことをまとめるなら、こういうことになるのだろう。
“自分の意見をきちんともって、いい大人なら金をケチらず、全身全霊でロードレーサーに乗ることを楽しむこと。これが、「幸せな自転車乗り」である。そして、ロードレーサーとは、それほどまでに乗り手の人となりを表してしまうものなのだ!”

2008年07月18日

アリュート・ヘブン - 新谷暁生


Title: アリュート・ヘブン
Author: 新谷 暁生
Price: ¥ 1,680
Publisher: 須田製版出版部
Published Date:

海といわず、山といわず、アウトドアの現場で生き続けてきた人の言葉が詰まった本。彼の言葉は、とにかく実践的で、慎重で、優しい。

ものすごくたくさんのことを知っているのに、それを無闇にひけらかすことなく、適切な言葉を選んで、しみじみと語りかけてくるような本。
アウトドアに興味のある全ての人に読んで欲しい本。

2008年07月16日

戦争の経済学 - ポール・ポースト


Title: 戦争の経済学
Author: ポール・ポースト
Price: ¥ 1,890
Publisher: バジリコ
Published Date:

戦争を経済活動としておさらいした本。
漠然と「昔から人類は戦争ばっかやってきたな」とか「戦争によって技術・経済の発展が促進されたこともあるな」とか思っていたのだけど、そういった考えに対してきちんとオチをつけてくれる本だと思う。

訳者の山形洋生さんがあとがきで書いているけれど、現在の日本では「戦争」という言葉にどこかタブー的な匂いがつきまとっているように思う。
恐らくこれは、日本が60年もの間「敗戦国」でありつづけたことと無関係ではないのだろう。でも、そういった「とにかく駄目なものは駄目」的な現実から目をそらす態度は逆に危険でもある。「絶対に駄目」という立場からは戦争の実態は見えてこないし、分かりやすい「戦争」という形から離れた「戦争」の存在にも無自覚になってしまう可能性が高い。

ポイントをまとめてしまいたいけど、そうするとこの本で行われている議論が台無しになってしまうので止めておこう。
戦争というものを極めてドライに、総体的に扱った、ありそうでなかった面白い本。

2008年07月07日

The Rider - Tim Krabbe


Title: The Rider
Author: Tim Krabbe
Price: ¥ 1,328
Publisher: Bloomsbury Pub Plc USA
Published Date:

姉の旦那(イギリス人)が送ってくれた本。

チェスプレイヤーであり、サイクリストでもある著者による、ロードレースを扱った小説。1977年に行われたアマチュアの大会で、レースが始まるところからレースが終わるところまでが描かれている。

山岳地帯ありの137kmを疾走するレースで、主人公(=著者)の心境や周りの選手の様子が実に生々しくてリアル。レースシーンの合間に、ロードレースに関するちょっとした小話が挿入されていたりして、なかなか楽しめる。

ヨーロッパ圏内ではサイクリング小説の古典としてよく知られている本らしいのだけど、日本国内ではあまり知られていないようだ。

2008年07月04日

新・放浪記 - 野田知佑


Title: 旅へ―新・放浪記〈1〉 (文春文庫)
Author: 野田 知佑
Price: ¥ 630
Publisher: 文藝春秋
Published Date:

すごい人がいたもんだ。
「青年の時は誰もが「求道者」だ。」という彼の言葉こそ、この本の核心をついた言葉。

前半部分、若かりし頃の野田知佑さんがあてどもなく国内・ヨーロッパを放浪している描写が実によい。若者が持っている、あてどもない悩みや苦しみが痛々しいほどリアルに描写されていて、胸がキリキリと痛んでくる。
自分もまだまだ悩んで、苦しんでいる途中なんだなぁ、と気付かされる。

後半部分、海外から帰ってきて学校の教師・サラリーマン時代の話になると、明らかにテンションが落ちる。その後、ライター稼業に専念して、日本中の川や海、それにアラスカの大自然に接するようになってからも、前半部分にあった切実な何かは影を潜める。

何だかよく分からないけど、人が抱えている何か。
多くの人は、そういったものを世間的な分かりやすいものに投影して、それに満足して生きようとする。この何だかよく分からない「何か」と、徹底的に取っ組み合って、まだ闘い続けている人の本。