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戦争の経済学 - ポール・ポースト

ノンフィクション


Title: 戦争の経済学
Author: ポール・ポースト
Price: ¥ 1,890
Publisher: バジリコ
Published Date:

戦争を経済活動としておさらいした本。
漠然と「昔から人類は戦争ばっかやってきたな」とか「戦争によって技術・経済の発展が促進されたこともあるな」とか思っていたのだけど、そういった考えに対してきちんとオチをつけてくれる本だと思う。

訳者の山形洋生さんがあとがきで書いているけれど、現在の日本では「戦争」という言葉にどこかタブー的な匂いがつきまとっているように思う。
恐らくこれは、日本が60年もの間「敗戦国」でありつづけたことと無関係ではないのだろう。でも、そういった「とにかく駄目なものは駄目」的な現実から目をそらす態度は逆に危険でもある。「絶対に駄目」という立場からは戦争の実態は見えてこないし、分かりやすい「戦争」という形から離れた「戦争」の存在にも無自覚になってしまう可能性が高い。

ポイントをまとめてしまいたいけど、そうするとこの本で行われている議論が台無しになってしまうので止めておこう。
戦争というものを極めてドライに、総体的に扱った、ありそうでなかった面白い本。