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新・放浪記 - 野田知佑

旅行記・写真


Title: 旅へ―新・放浪記〈1〉 (文春文庫)
Author: 野田 知佑
Price: ¥ 630
Publisher: 文藝春秋
Published Date:

すごい人がいたもんだ。
「青年の時は誰もが「求道者」だ。」という彼の言葉こそ、この本の核心をついた言葉。

前半部分、若かりし頃の野田知佑さんがあてどもなく国内・ヨーロッパを放浪している描写が実によい。若者が持っている、あてどもない悩みや苦しみが痛々しいほどリアルに描写されていて、胸がキリキリと痛んでくる。
自分もまだまだ悩んで、苦しんでいる途中なんだなぁ、と気付かされる。

後半部分、海外から帰ってきて学校の教師・サラリーマン時代の話になると、明らかにテンションが落ちる。その後、ライター稼業に専念して、日本中の川や海、それにアラスカの大自然に接するようになってからも、前半部分にあった切実な何かは影を潜める。

何だかよく分からないけど、人が抱えている何か。
多くの人は、そういったものを世間的な分かりやすいものに投影して、それに満足して生きようとする。この何だかよく分からない「何か」と、徹底的に取っ組み合って、まだ闘い続けている人の本。