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2008年04月16日

海賊版の思想 - 山田奨治


Title: 〈海賊版〉の思想‐18世紀英国の永久コピーライト闘争
Author: 山田 奨治
Price: ¥ 2,940
Publisher: みすず書房
Published Date:

18世紀の英国の書店主達の間で闘われた、コピーライトに関する裁判に焦点を当てた本。
山田奨治さんというと、「日本文化の模倣と創造」がとても面白くって、この本も期待して読んだのだけれど、期待に違わず面白い本だった。

印刷技術の発展によって出版業が興り、そこから「大衆向け」の本を書く著者が現れるようになった。そして、その「金のなる木」の権利を独占するべく、書店主(当時における「書店」とは、編集者であり、出版社であり、文字通りの書店でもあった)達が結束し、「コピーライト」という権利を明文化された。

そこに様々な政治的思惑や、商売上の損得勘定、さらには地政学的な要素が複雑に絡み合い、グダグダな展開になりながらも、「永久コピーライトが否定される」という*まっとうな*判定が下されたのがこの本で扱われている「ドナルドソン対ベケット事件」と呼ばれる有名な裁判。

現代において「著作権」と呼ばれているものは、それが明文化された当時から商売上の利益確保のため「だけ」に援用されてきたし、その後も既得権利者達の様々な思惑が主軸になって、変更が加えられたりしてきたのだなぁ、と思った。

また、当時の英国における、スコットランド人達の苦悩や努力は並々ならぬものがあったのだなぁ、とか、いろんなことを考えさせられた。

2005年08月08日

ディジタル著作権 - 名和小太郎


よい本。

現行の著作権がいかに時代にそぐわないものかをとってもうまく説明している。
著作権のみならず、法律がどういった存在意義を持っていて、どのように機能してきたか、ということに関しても触れられているので「著作権がよくわからない」と思い続けていた自分にはとてもよい本だった。

ベルヌ条約からアメリカのDMCA、そして近未来に起こることが予想される著作権に関する混乱をうまく描いている。

現在のDRMは現存する著作権保持者の既得権利をどうにかして守ろうとする見苦しい存在でしかないので、これをどうにかして新しい発想で組み上げていくことで「こんなこともできるんだ」という例を世の中に示せたら面白いな、と思う。

2005年05月29日

改憲幻想論 - 佐柄木俊郎


「壊れてない車は修理するな」という副題の憲法改正に対する意見書。

この副題は近年オーストラリアであった憲法改正のための国民総選挙で、反対派が唱えたキャッチフレーズ。
たしかに憲法というもののあり方を考えたときに、現実に起きている問題に対処するのに憲法を修正する、という姿勢はあまりに短絡的だし楽観的すぎる。

誤解を恐れずに言ってしまえば、日本にはまだ民主主義が根付いていないと感じている。でも今の憲法は高らかに民主主義を謳っているし、近代国家の根本的なガイドラインとしてはまだほころびもみられていない。
だから「壊れてない車は修理するな」という言葉はとてもリアリティーがあるし、僕個人の意見としても無闇な憲法改正は日本をろくでもない方向に連れて行ってしまう嫌な予感がするのでやめておいたほうがよいと思った。

2005年02月26日

ヨーロッパ法史入門 - クヌート.W.ネル


図書館で借りた泣きそうに面白くない本。

古代におけるローマ法。
中世における大陸法やイギリス法。
近代における工業化に伴った形の権利保護法・・・。

もう少し分かりやすく、面白くなるように書いてくれればいいのに、全然ダメ。

「所有」に関するところはまぁまぁ面白かった。

2004年07月14日

著作権の考え方 - 岡本薫


現在の著作権ガイドとして、とても有用な本。

著作権の現在と、その問題が分かりやすく書かれている。

2004年06月02日

国際連合 - 明石 康


世界の秩序としての国連の機能性について知りたかったので読んでみた。

国連の発足から発展、そして現在に至るまでの変移・・・。
「超政府」という存在ではなく、あくまで「国家の連合」であることに存在意義を見いだしている国連の姿が見えた。

「調停者」として、「師団を持たない師団長」としての事務総長。
「根無し草」ではないコスモポリタン、または国連のスタッフ。

良きにせよ悪しきにせよ、戦後の国際関係に関わってきた国連的存在は、大国にとっても小国にとってもまだまだ必要な存在なのだな、と思った。