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現代人のためのユダヤ教入門 - デニス・プレガー、ジョーゼフ・テルシュキン

宗教・人類学


Title: 現代人のためのユダヤ教入門
Author: デニス プレガー, ジョーゼフ テルシュキン
Price: ¥ 2,100
Publisher: ミルトス
Published Date:

今日におけるユダヤ教を概観した本。
ユダヤ教・ユダヤ人に関してある程度興味があって、どこから切り込んでよいか分からなかった人にはうってつけの入門書。

ユダヤ教における「神」とはどういうものか、そしてなぜユダヤ教がかくも複雑な律法をその宗教的立脚点にしているのか・・・といったことをひとつひとつ丁寧に説明している。アメリカに移住したユダヤ人がユダヤ人的生活を送るためにはどうすればよいか、みたいなことについてもかなりのページが割かれており、なかなか興味深い。

ユダヤ教が一神教の元祖であり、最も古くから明文化された律法を守り続けている民であることはよく知られている。その長い歴史の中で彼らが紡いできたのは、いわゆる「聖書」だけではなく、「口伝律法」と呼ばれるタルムードと総称される律法群がある。

著者によれば、はユダヤ教における「神」とは、存在と善良性、その他全ての立脚点(あるいは根拠)となる「あるもの」であり、その存在なくしては全てが頼りなく移ろいゆくもの(相対的なモラルは、もともとなかったようなものである)となってしまうものなのだそうだ。そしてその神の存在を前提に、ユダヤ教の目標であるところの「善人であること、善をなすこと」を実践するためのガイドラインとしての律法が存在する、というのが著者の視点で、このあたりの議論は非常に納得できた。

まだまだユダヤ教・ユダヤ人については分からないことだらけで、知りたいことがたくさんあるのだけれど、頭の中に持っていた漠然とした問いはいくつか解けたような気がした。