剱岳 点の記 - 新田次郎
山登り
Title: 劍岳,点の記 (文春文庫 に 1-23)
Author: 新田 次郎
Price: ¥ 540
Publisher: 文藝春秋
Published Date:
明治40年、測量の基準となる三角点を設置するために剱岳に登った柴崎芳太郎さん一行の物語。
彼らが艱難辛苦の後に辿り着いた頂上で、奈良時代に修験者が残していったとされる錫杖の頭と鉄剣を見つけた話は有名だけれど、その詳細について触れる機会がなかったのでなかなかよい読書体験だった。もちろん、小説なので至る所にフィクション的要素が挿入されてはいるものの、測量に関する部分に関して手を抜かずに描写しているのでリアリティーのある物語になっているように感じた。
純粋な登山のように「登ったら終わり」ではなく、重くて嵩張る測量器具を持ち上げた上、さらに厳しい環境の中で測量を行ってきた測量という仕事は非常にハードだったに違いない。現代における、山岳救助隊とか、山小屋の人が道を整備したりするような苦労に通じるものがあるのかもしれない。