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マクベス - シェイクスピア

演劇


福田恒存さんの翻訳。
現代的な文章で、そのまま日本語での上演に使えそうな翻訳だ。個人的には市河三喜さん・松浦嘉一さんのハムレットのような格調高い文章や、中野好夫さんのヴェニスの商人のような少しくだけた文章に慣れていたので、いかにもプレインな感触のこの文章には少なからず違和感を感じた。

マクベスは、ある程度まで予定調和の悲劇であるように思う。
魔女達が「人の弱さ」につけこんで、世界の秩序を乱している・・・みたいな世界観があると同時に、それを頑張って正していこう・・・という力が働いて世界の均衡が保たれる。

なんといっても、一番印象的なのはマクベス夫人のキャラだろう。
「王を殺すなんてとんでもない」と後込みするマクベスに葉っぱをかけ、王を自分に手をかけることも厭わない。マクベスが王になった後は、自分の好きなように政治を仕切る・・・というのはよくある悪役女性のパターンだけれど、その彼女さえも最後はあっけなく闘いが始まる前に事切れる。
あくまで、物語の主眼は人間の弱さに置かれていて、そこを軸にして物語が回るからスケールの大きさが強調されるのだろう。

マクベスを読んで、先日見た劇団新感線の「朧の森に棲む鬼」がいかに強い影響を受けていたかがよく分かった。