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南の海からきた丹沢 - 神奈川県立博物館:編

地学・環境学


前々から地学に興味を抱いていたものの、いつも入門編でくじけていた自分にとって、ようやくプレートテクトニクスがどんなものなのかを教えてくれた画期的な本。
やはり、人間身近な教材がないと学習できないものだと思う。

プレートという言い方は、60年代以降に出てきたプレート理論という学説に倣った言い方で、物理学的な分類では地球の各層は地殻、リソスフェア、アセノスフェア、メソスフェア、そして核から構成されるらしい。「プレート」とは地殻とリソスフェアを含み、柔らかなアセノスフェアの上を大小約10枚のプレートが動いているのが地球の姿なのだそうだ。

ウェゲナーの大陸移動説は有名だけれど、現在の地学では既に地磁気等に影響も既に研究され、地球にはもともとひとつの大きな大陸(ゴンドワナ大陸)があった、ということになっているらしい。
各プレートがぶつかり合う境界では、海同士であれば重い方が下に潜り、海と陸であれば海が下に潜り、陸同士だった場合には衝突が発生する。衝突で有名なのはインド大陸によるヒマラヤ山脈の造成だが、実は極めて身近な伊豆半島も日本列島に衝突した「島」だったのだそうだ。

丹沢のあの複雑な地形がどうやってできたのか、という身近な興味から、日本という島の極めて特殊な島であることがよく分かるよい本だった。