リア王 - ウィリアム・シェイクスピア
演劇
相変わらず面白いシェイクスピア。
薄幸なコーディリアと、甘言に惑わされて悲劇の中心人物となってしまったリア王。
エドガーとエドマンド、それから2人の姉、そしてグロスターとケントというもはや単純に脇役と言うことができないほどに存在感を示すキャラクターもとても印象深い。
シェイクスピアの何が凄いか、といえば、やはり人物描写の素晴らしさとその人々が発する活き活きとした言葉だろう。
全てを失って狂乱のさなかに荒野の風に向かって叫ぶリアの姿には誰しもが心を動かされるだろうし、追放を言い渡されても主君に忠実に仕えようとするケントには感動すら覚える。
そして愚かで欲情に燃えた2人の姉の姿もとてもうまく描かれている。
岩波文庫版を読んだのだけれど、注解としてなかなか詳細にわたった説明がつけられていて、当時の風俗習慣がわかりやすくなっていたのが好印象だった。
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シェイクスピアが悲劇を書いた理由がなんとなく自分の中で掴めてきた気がしている。それは「人生の最大の悲しみ」の表現であり、「絶望」のシミュレーションのようなものなのではないか、と感じた。