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忘れられた日本人 - 宮本 常一

宗教・人類学


これははっきり言って素晴らしい。
日本人でありながらこの本を読んでいなかったのは、なんていうかすごい勿体ないことだな、と思えてしまうほど。

昭和の初期に日本各地の農村を歩き、その地の生活の生き証人である老人や女性達からの話をまとめている本。
江戸時代から明治維新、大正、昭和、と移り変わる歴史の中で、たくましく生きてきた生活者としての農民達の活き活きとした声がとてもうまく収められている。

個人的に、ここしばらく「世間」的社会システムの信頼性を疑うようなことばかりを考えていたのだけれど、この本に描かれている「世間」をかいま見て、それもそれで素晴らしいものだな、と感じた。
とはいえ、大都市などで「世間」的社会システムがうまく機能しないことはまた自分の中で強い確信がある。
はやいとこ、シミュレーターを作り始めたいところではあるが・・・。