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The Cyclist's Training Bible

"The Bible"を一通り読んだのでレビュー。

定番本だけあって、自転車のトレーニングについてよくまとまった本だと思う。ポジションがどうとかパーツがどうとかいったことには一切言及していなくて、ただひたすらトレーニングの理論&実践方法について書かれている。
平易な英語で書かれているので読みやすい。

この本のポイントになっているのは、基本的なレース能力としての持久力(Endurance)、筋力(Force)、走行能力(Speed Skill)の三つの要素からなる三角形。自分の強いところと弱いところとを洗い出し、目標とするレース&結果を軸に三角形のどこを鍛えればよいのかを考えつつ、ペリオダイゼーション理論(Periodization)を用いたトレーニング計画を立てる手助けをしてくれる・・・というのがこの本の大きな枠組み。

Periodizationとは、シーズンが始まる前に目標を設定し、そのレースでベストなパフォーマンスが出せるよう、何ステップかの期間を設けることで効果的なトレーニングを行うための理論。トレーニング理論としては一定の評価を得ているようだけど、スケジュールが変更になってしまった際に対応しにくいとか、目標を2つか3つに絞る必要があるとか、いくつか問題点が挙げられているようだ。

「レースに向けて段階的にトレーニングを変化させていく」という考え方は既に一般的になっているので、Periodization自体は目新しいものではない。現実問題として、トレーニングが全て予定通りにこなせるわけはないので、「ざっくりと計画を立ててそれを実行していく」ための指標程度に考えたほうがよさそう。

自分の弱点を見つけるテストプログラムを実践していくにはパワーメータの利用が(ほぼ)必須。トレーニング時の利用に関しては深く触れていないあたり、まだパワーメータがアマチュアサイクリストにとって高嶺の花だった時代(今もだけど)の本なのだなぁという感じ(初版は1995年)。このあたりは2009年になって出たForth Editionで変わっているのかも知れない(自分のやつはThird Edition)。

「聖書」だけあって、サイクリスト向けの筋トレやストレッチの方法、食事の取り方やリカバリーの方法などなど、サイドディッシュ的な情報も詰まっている。長いことアスリートのコーチをしてきた著者らしく、理論的なことと実践的なことがうまく織り交ぜて書かれているのが素敵。

「レースで結果を残す」ことを前提にした本なので、ある程度目的意識を持っている人にとっては大いに使える本だと思う。逆に言うと、ただ漠然と「速くなりたい」意識で自転車に乗ってる人にはおすすめできないかも。


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2009年06月12日 06:22に投稿されたエントリーのページです。

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