最近我が家に遊びに来た知り合いが、ロードバイクに興味があるとのことで相談を受けた。
- 長くつきあえる自転車が欲しい
- 細身のクロモリフレーム(ホリゾンタル)が好み
- 当面レースには出ない予定(平塚在住なので、近所を気持ちよく走りたい)
・・・とのこと。
これまさに2年半前の自分と全く同じ状況。「恐ろし(く楽し)い世界」へようこそ。
AnchorのRNCと、COLNAGO Master X-Lightを検討していたようなのだけど、我が家のMaster X-Lightを見て目を輝かしていたので、COLNAGO仲間が一人増えることになりそう。今年中にマラソンでサブスリー達成しようとしているアスリートだから、ひょっとすると1年もしないうちにあっさり追い抜かれてしまうかも知れない・・・。
随分前から海外の自転車レースを見ていたらしく、細いシルエットのホリゾンタルフレームがかっとんで行く姿に惹かれるものがあるらしい。
うんうん、ほんとそうですよね~という感じ。
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スポーツバイク経験はない(小径車のみ)とのことだったので、とりあえず今の自分から言えることを一通りアドバイスしてみた。
- ロードレーサーを乗りこなす上で一番大切なのは自分の身体にフィットしたフレームサイズであり、それに合わせたポジション
- 鉄フレームでも十二分によく走る
- (特に初心者のうちは)お世話になることが多いので、安さに釣られたりせずに近所の経験豊富なお店で相談したほうがよい
- コンポーネントは105/Veloce以上であれば十分
- ロードレーサーはレースの道具なので、サイクリング気分ではじめてもレース志向になりがち
・・・という感じ。
やはり、はじめてのロードレーサーを考える上で一番ハマりやすいポイントはサイズなんじゃないかなぁ~と思う。サイズのあわないフレームを選んでしまうと、いつまで経っても快適に乗りこなすことができないし、最終的にフレームを買い換える羽目になったりして高い買い物になってしまう。
自分とロードレーサーとの出会いで最も幸運だったのは、一台目を買ったお店の店長さんが選んでくれたのがピッタリサイズの自転車だったこと。2年半前に組んでもらったMaster X-Lightは、今でも1cmとポジションを変えずに乗れていて、同じジオメトリのExtreme-Powerにも違和感なく乗ることができている(逆に言うと、一番はじめからスパルタンなセッティングで組んでくれたってことらしい・・・)。
そんなわけで、はじめてのロードレーサーに手を出そうとしている人や、いつまで経っても快適に走ることができない人は、経験豊富な店員さんに身体を計ってもらうことをおすすめしたい。さらに理想を言えば、ジオメトリを調整できるスケルトンフレームに乗せてもらえれば言うことなし。
それでも、ある程度の目安が欲しい(そもそも希望するフレームには自分にぴったりのサイズがないかもしれない)という場合には、以下のウェブサイト/エクセルシートが便利。
https://www.wrenchscience.com/Secure/Fit/Height.aspx?stylecode=R
http://antonyl.brinkster.net/beatnik/Biomechanicalcyclingv8english.xls
あくまで参考情報でしかないけど、両方とも割とイイ線の数値が出ているような気がする。
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あと、「ロードレーサーがレースの道具」ってのは、最近自分が強く感じていること。ロードレーサーは、チギってチギられてアルプスの山を越え、恐ろしいスピードで山を下り、ゴール前でスプリントして・・・というレースの中で進化してきた乗り物だから、乗り込んでいくと「もっと遠くまで」「他の人より」速く走りたいといった欲望がムクムクと頭をもたげてくる。この欲望自体はあくまで自然かつ健全なものだと思うのだけど、最近の日本ではスポーツ自転車としてのステップアップ先がロードバイク一択になっているような気がして、正直どうなのかな~と思わなくもない。
スポーツ自転車の走行性能を突き詰めていくことで(ひとつの究極として)ロードレーサーに辿り着くのは当然の成り行きだと思うのだけど、本格的なレース活動をしない多くの人にとってロードレーサーの戦闘力は過剰で、必要以上に乗り手を好戦的にしてしまう傾向があるような気がする。
恐らく、この状況を作りだしているのは、文化としてのサイクリングよりも、スポーツとしてのサイクリングが世間にウケているという現実。例えば、泊まりがけの自転車旅行では、積載能力ゼロのロードレーサーは役に立たないから、必然的にマウンテンバイクやクロスバイク、あるいはランドナーといった自転車を選択することになる・・・のだけど、道路網が発達しすぎて都市部近郊で魅力のあるルートが減ってしまった現在、泊まりがけの自転車旅行は時間に余裕のある学生くらいしか楽しめない「贅沢」なものになってしまったのではなかろうか。
スポーツ文化に関して言えば、アメリカ発祥のスポーツ革命(と勝手に自分が命名している)の影響で、ヨーロッパ発祥のスポーツ文化に構造変化が起きているなぁ、という実感がある。これは、既存のスポーツのオイシイところだけを取り出して、より「クイック」で「ファン」な形で再パッケージ化したもの、というのが自分の解釈。例えば、いわゆる「登山」に対する「フリークライミング」だとか「ボルダリング」、それに「トレイルラン」だとかいったものはその典型例。
山に入るまでのアプローチが長く、山に入った後もむき出しの自然と闘い続けねばねらない登山は、これから先もしばらくの間はスポーツ革命の影響を受けずに済みそう。逆に、「マウンテンバイク」や「ロードバイク」といったアメリカンなカテゴライズによる洗礼を受けた自転車文化では、ランドナーやスポルティーフといったサイクリング文化の担い手達が絶滅に追い込まれてしまったのかなぁ~と思ったりする。
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まぁ、細かいことは置いといて、スポーツ自転車としてのロードレーサーは最高に楽しいものだと思うので、よりたくさんの人がそれぞれの楽しみ方で(人に迷惑をかけない範囲で)長くつき合っていければよいのかな。