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「アメリカの小麦戦略」と日本人の食生活 - 鈴木猛夫

ノンフィクション


Title: 「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活
Author: 鈴木 猛夫
Price: ¥ 2,310
Publisher: 藤原書店
Published Date:

戦後の日本人の食生活がいかに急速に変化したかについて論じた本。

この本によれば、戦勝国であるアメリカで小麦が余り、余った分を戦略的に日本に売り込んだ結果として、学校給食の実施(パン食+牛乳)や、家庭への洋食の浸透が繋がった・・・、という経緯があったのだそうだ。アメリカはアメリカの正義のためなら何でもやる、という好例ですなぁ。

当時日本側で洋食を推進した人たちはよかれと思ってやっていたのだろうけれど、結果として自給率の低下と欧米人に多い病気が増えたり・・・と今になってみると、よいことばかりではなかったことが分かる。

著者の言う、食文化は長い時間を経てその土地に根付いたものだから、目先の「科学的」で「先進的」な食生活にスイッチすることに大きなリスクがある、という説は大変もっともなことだと感じる。

白米ばかり食べていると、食物繊維が不足して脚気になる。庶民でも普段から米が食べられるようになった江戸後期~明治~大正にかけて、日本人は大いに脚気に悩まされたのだそう。日清戦争における死者のうち、先頭による死者よりも脚気による死者のほうが多かった、という事実は初めて知った。より戦闘が激しかった日露戦争においても、兵士の間の脚気が解消されることはなかったのだそうだ。

玄米(あるいは胚芽米)にみそ汁、それに漬物という古典的な日本人の食事は、なかなか理にかなった食事なのだなぁ、と思った。
玄米は圧力鍋がないと辛いけど、胚芽米なら既に食べてる。
さらに我が家には自家製味噌があるので、あとは漬物を作るようになるとよい感じですな。