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ゲド戦記(5) アースシーの風 - ル・グウィン

小説・詩集


Title: ゲド戦記 5 アースシーの風
Author: アーシュラ・K. ル・グウィン, Ursula K. Le Guin
Price: ¥ 1,260
Publisher: 岩波書店
Published Date:

ゲド戦記の完結編。
死の国と生の国との扉を閉じることによって、全てが元通りになったかと思われたアースシーの世界だったが、竜たちの行動に異変が見られ、世界の均衡は保たれていないことに気づいた王レバンネンは「竜の娘」テルーを宮殿に呼び寄せるのだが・・・。

4巻に引き続いて、ゲドはあくまで脇役でテナーとテルー、そしてレバンネンと幾人かの旅を共にする人たちが主役となっている。
謎がすっぱり解けて、かなり回りくどくて難解な形で世界の均衡が戻るわけだけれど、このスケール感を表現しつくしたル・グウィン女史はやはり只者ではないと思った。

最近になって知ったのだけれど、彼女の両親は北米最後のインディアンと言われた「イシ」の研究に携わった文化人類学者だったのだそうだ。父親のアルフレッド・L・クローバーはネイティブ・アメリカンの研究の第一人者だったし、母親のシオドーラ・クローバーは「イシ―北米最後の野生インディアン」の著者。
「ことば」の力だったり、自然に関する描写ひとつひとつをとっても特徴的な彼女の文章は、こんなところにルーツを持っているのだと今更ながらびっくりした。