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ゲド戦記(4) 帰還 - ル・グウィン

小説・詩集


Title: ゲド戦記 4 帰還 (ソフトカバー版)
Author: アーシュラ・K. ル・グウィン, Ursula K. Le Guin
Price: ¥ 1,260
Publisher: 岩波書店
Published Date:

3巻を読んでからしばらく時間が空いてしまったが、なかなか充実した読書だった。

1巻から3巻まではゲドが主体的に行動し、戦う物語であったのに対し、4巻はゲドが若干脇役になって「女性性の逞しさ・強さ」だとか「日々の生活感」みたいなものが強調されているように感じた。

3巻でクモと戦い、魔法の力を失くしたゲドが竜によって連れて来られたのは生まれ育ったゴントの村。そこには、かつて彼が世界の均衡を取り戻すために遠くの国から連れ去ってきた巫女であり、今では農家の後家となっているテナーがいて、ゲドの社会復帰のために面倒を見てくれて・・・という話。

著者独特の自然描写や、アースシーの世界の不思議なルール、それに人間が普遍的に持っている「悪」の心に関する観察や洞察が実に鋭くて、読んでいてドキリとするようなところが多い。