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蒲公英草紙 - 恩田陸

小説・詩集


もうひとつの常野物語。
一人の常野ではない少女を狂言回しに、明治から大正へと向かう北陸の小さな村を舞台にした長編だ。

どこか懐かしさを感じる上品な文体で、手紙を書くように淡々と物語が綴られている。冒頭から悲劇の予兆を感じさせる雰囲気を持っていているのだけれど、「少女の甘酸っぱい思い出」的な味付けをすることによってその村、そして日本中を悲惨な状況に陥れた惨状を相殺するようなテイストを持たせている。
とにかく、最後のほうは読んでいて目頭が熱くなる。