光の帝国 - 恩田陸
小説・詩集
「常野物語」シリーズのうちのひとつ。
「常野」と呼ばれる不思議な力を持った人たちにまつわる物語。
「常野」の人たちの日常を、女性らしい優しくて繊細なタッチながら、時々ドキッとするような大胆な文章で描いている。
「常野」とは、柳田國男さんの「遠野物語」を意識しているのだろうか、話の中では東北の一地方の名前でもあるらしい。在野にあり、権力を持たず、不思議な力で不思議な行いをしつづけている人たちのことでもある。
オカルトやSF的になりすぎず、古代宗教的な清潔さを持ったこの魅力的な人たちの持っている力は、きっと人間が本質的に持っている「魂の力」のようなものなのだろう。
不思議な魅力に溢れた作品だ。