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ビッグ・ピクチャー―ハリウッドを動かす金と権力の新論理 - エドワード・J. エプスタイン

ノンフィクション


忙しいときに読む本ではなかったが、図書館で予約の順番が回ってきたので仕方がなく読んだ。

「ハリウッド」というビジネスの形がその後の技術や個人の道楽、それに政治的な力によってその姿を際限なく変えてきた姿がとてもうまく描かれた本。

はじめの方の、貧乏な移民ユダヤ人達が持ち合わせた才覚でハリウッドでの映画ビジネスを切り開いていく話が一番面白かった。「映像」という新しく生まれた技術を娯楽のフォーマットとして定着させ、それをありとあらゆる方法を使ってオイシイビジネスとして育て上げてきた初代のモーグル達の精神が今もなおハリウッドという場所に宿っているのだろう。

子ども達を熱狂させたディズニーの奇跡や、技術とコンテンツがふたつの車輪であることを確信していたソニーの盛田さん、そして今のハリウッドをハリウッドたらしめることになった数多くの人たちの活躍・暗躍はとてもエキサイティングなギャンブルだったのだなぁ、と思った。