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ラダック 懐かしい未来 - ヘレナ ノーバーグ・ホッジ

旅行記・写真


1970年代からラダックで研究生活を営んできた西洋人の女性が「人類の未来」を語った本。

彼女がその地に住むようになってから何年かの間に、何百年も同じ生活を続けてきたラダックの人たちにも、西洋的な開発の波が押し寄せてくる。
この変化は昔ながらの生活を営む人たちに多かれ少なかれ影響を与え、さらには人生勉強の初期過程にある若い人たちの価値観を強く揺さぶる。

彼女が幸運にも垣間見ることが出来たラダックの昔ながらの生活は、人間が生きていくうえで必要になるささやかな調和を合成するとても優れたサンプルであったようだ。この調和が目の前で崩れ去っていこうとする時代もまた、彼女にとって現代人が直面している沢山の問題がどういった種類のものであるかを感づかせるのに(皮肉にも)大きな働きをしたように思われる。

人が生きていくのに本当に必要なものは何なのか?
個人個人が生きていく中でのショック吸収剤として機能する社会は、どこまで必要なのか?

・・・多くの問題を考えさせてくれると同時に、彼女の率直な意見がたくさん提示された面白い本であった。