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エーゲ・永遠回帰の海 - 立花隆

旅行記・写真


最近忙しくなってきたせいか、読みたかった本にガンガン手を伸ばしている。

例えば、本当は今日はゲーテの「ファウスト」の下巻を読もう、と思っていたのだけど、同じ週にアマゾンから届いたこの本は、ページを繰ってしまったら最期、ついつい読み通してしまうほどに面白い一冊だった。

立花隆が20年以上前に行ったエーゲ海近辺の旅行記+な本で、同行したカメラマンによる写真と、ギリシャ・ローマ・キリスト教世界に対する立花隆の鋭い指摘が収められている。
個人的によいなぁと思ったのは、エフェソスのアルテミス像と、キリスト教の成立に関わる話、それに聖山アトスを訪れる部分と最後のほうの哲学に関する彼の率直な意見が述べられているところ。

「一枚の写真に触発されて旅に出ることは、珍しいことではない。インドのベナレスを訪ねたのも、トルコのカッパドキアを訪ねたのも、あるいはエジプトのルクソルを訪ねたのも、すべては一枚の写真からはじまっていた。
一枚の写真の持つ情報量はしばしば驚くべきレベルに達する・・・」

なんてあたりは本当に共感できる。
本全体として見ると少しまとまりに欠ける感があるが、優れた写真が沢山収められていることもあって、とても有意義な読書になった。キリスト教社会の成立と発達は、今後もゆっくりと時間をかけて勉強していこうと思っている。