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ケータイ小説的 - 速水健朗

文化・芸術


Title: ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち
Author: 速水健朗
Price: ¥ 1,575
Publisher: 原書房
Published Date:

ケータイ小説は実はヤンキー文化に属するものである、という著者の意見をベースに、ケータイ小説を中心とした携帯世代の生態を綴った本。

当否はともかくとして、近年の日本の若者世代がどういう文化様式のもとで生きているかということを考える上で大変面白い本。ケータイ小説なんて絶対自分は読まないし・・・と考えている人こそこういう本を読むと楽しめると思う。

浜崎あゆみがただのギャル系売れ筋シンガーだと思ってた自分としては、彼女のブレーク前時代やケータイ文化の教祖であったといった事実がなかなか面白かった。

古くは浄瑠璃や歌舞伎から、雑誌の投稿や漫画・アニメ・ゲームなどといった形で変移してきた「物語を消費する文化」の最先端がケータイ小説なんだなぁ、と勝手に納得。ケータイ小説を彩る妊娠・中絶・恋人の死・不倫・DVといった(自分にとっては全く理解不能な)テーマは、ある世代の若者にとって共感することのできるリアリティーであり、空虚な現実の埋め合わせとして機能しているのではないかと感じた。

文化の形なんて10~20年であっという間に変わってしまうものだ。ケータイ小説がいかに現代の「オトナ」に理解できないものであったとしても、10年後には立派なメインストリーム文化になっている可能性だってあるのだなぁと思った。