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勝ち組が消した開国の真実 - 鈴木荘一

歴史・考古学


とても面白く、勉強になる本。
銀行マンによる、分析的でありながら読みやすい明治維新の物語。

1860年代に列強各国が置かれていた状況と、それに伴って実行された対日外交、そしてそれに対する江戸幕府の対応と国内の動乱・・・。
この流れの中で、当時の幕府、そして現在における日本国がいかにして独立した存在して存在しうるか、ということをきちんと考えて実行できた人は、討幕派の中よりも幕府側に多かったのかもしれない、と思った。

徳川慶喜の明晰な判断力、そして行動力にはただただ驚かされる。その正反対とも言える、安易で感情的な行動主義はやがて軍国主義に繋がり、燃え上がった熱は結果的に太平洋戦争を巻き起こしてしまったわけだ。

この国には、もっと国や未来のことをしっかり見据えることができる人間が必要だな、と痛感した。