イェルサレムのアイヒマン - ハンナ アーレント
ノンフィクション
元ナチの将校で、ヨーロッパ各地からのユダヤ人の輸送を通じて「最終的解決」に加担した、とされ逃亡先のアルゼンチンからイェルサレムへと拉致されて裁判にかけられたアイヒマンの記録。
ハンナ・アーレントの著書を読んだのはこれが初めてなのだけど、彼女の思考能力の高さがとにかく素晴らしい。あくまでジャーナリズムとしての客観性を保ち、事実をあくまで冷静な姿勢でつきとめようとしていく姿が非常に好ましい。
アイヒマンのような男は世界中に沢山いるような気がする。
自分の弱さを肯定も否定もできず、ただ流れるままに弱さが求める方向に行ってしまった男。
自分の人間としての弱さの一部も本の中に描かれているような気がして、空恐ろしい気持ちになるのと同時に、本の副題でもある「悪の陳腐さ」についても考えさせられた。