アルザスの小さな鐘 - マリー・ルイーズ・ロート・ティンマーマン
歴史・考古学
面白い経緯で読むことになった本。
確か、「産業文明と民衆」か何かの本で、中世ヨーロッパにおいては、街の真ん中にある教会・聖堂の鐘の音によって色々なコミュニケーションがなされていた・・・、みたいなところがすごく面白くて、それに関して詳しく書かれた本を探していたら、全然関係ないこの本を見つけた。
で、amazon.comで買うのをためらっていたところが図書館で見つけたので借りてきた・・・、というわけ。
内容としては、フランスとドイツの国境に近いアルザス(フランス領)に住む一家が1942年、ナチス・ドイツに吸収された現地から「反ドイツ的」という理由でドイツの収容所へ連れて行かれて「ドイツ化」教育を受けるが、家族の強力な絆でその生活を乗り越えていく・・・、というもの。
基本的に優れた人たちの多い一家で、著者のマリー・ルイーズさんも連れ去られた16歳当時から素晴らしい観察力と洞察力を持っていて、為政者に屈する人たちの姿を痛烈に批判している。
アルザス地方の人たちが持つアイデンティティーや、あの時代に起こった悲劇の様子がとてもよく伝わってきた。