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日本人の顔 - 司馬遼太郎

エッセイ・対談


対談集。

日本人のアジアからは少し離れた特異な性質がどこから来ているのか。
日本の国の行く末をいつも心配している司馬遼太郎の生の声が聞こえてくる気がした。

沢山の示唆に富んでいるのがよい。

最近カタい本を読み続けていたので、良い息抜きになった。

江崎玲於奈さんの
“しかし結局、「自我」は、自分のやりたいことをやるところから出発するんじゃないですか。自分流の価値観を持つといいますか、おれと人とは違うんだという一つの自由独立の精神というか。自分はこういう才能があるけれども、他人にはこういう才能がない、簡単に言えばそういうことじゃないですか。”

とか、司馬遼太郎本人の
“それは日本には山と川がたくさんあって、多宗教の世界世界だからではないかと思う。砂漠で星空を眺めていたら一神教の気分になります。”

なんてとてもいい発言だ。
歌舞伎町なんかを歩いていると、東南アジア的雑多でヌメヌメした粘っこい「何か」を感じるのだけれど、司馬さんが言っているのもそういうことなのではないかと思う。

遠藤周作が「沈黙」で日本的ドロドロの社会では、キリスト教は根元から腐ってしまう・・・という表現をしていると思うのだけど、とても言い得て妙だよなぁ、と感心した。