Fleche 2017 – 新潟から江ノ島まで

ブルベの一種であるFlecheを会社の自転車部の仲間たちと一緒に走った。

自由なルートで、3人以上のメンバーで、24時間で360km以上を走る、というのがフレッシュ。ブルベ経験の豊富なリーダーM波さん、ロード初心者ながらもクロスバイクで200km走ったことがあるというM野さん、そしてブルベは夜間走行が嫌だなぁということで避けてた自分の3名がエントリー。年初からルート設計、装備、走り方などを相談・調整して、しっかりと計画を立てて臨んだ。

我々のプランは新潟に前泊し、早朝から走り始めて日本海の海水を汲み、三国峠を超えて群馬、埼玉、東京を通り抜けて江ノ島にゴールして太平洋に日本海の水を注ぐ…というもの。ルートの長さは約400kmでまとまった登りは三国峠だけなので、難易度としてはそこまで高くない設定。

自分の装備はレース用に使ってたExtreme-Powerを組み直して、ミニマムな持ち物でなんとかする計画。自転車に付けるのは

  • Garmin Edge 500 + Edge 705
  • 前照灯(Cateye Econom Force, Unico Akslen)
  • 尾灯 (Panasonic SKL090 + Cateye SL-LD100-R)
  • 輪行バッグ (Ostrich 220、サドルレールに取り付け)
  • ツール缶 (チューブx2、工具類、替えの靴下、その他)

ジャージのポケットには、

  • 雨具上下 (モンベル バーサライト)
  • 空気入れ、ロック
  • Cliff Bar x2
  • 財布、スマホ、ブルベカードなど
  • 防寒用グローブ

を入れて(スタートの時点でパンパン…)、服装はRaphaのインナーに長袖ジャージ、それにビブニッカーとした。

ブルベ界では大型のサドルバッグを装着するのが定番のようだけど、ミニマムかつシンプルな装備がベストと考えている自分としては、やせ我慢になったとしても装備は最小限にしてどこまでやれるか試してみたかった。結果、なんとかなりはしたけど、素直にサドルバッグ使ったほうがパッキングは楽だなという印象を受けた。

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出走の前日の金曜日は在来線で移動。他の二人は新幹線のようだが、藤沢駅から高崎まで普通列車のグリーン車を使うと快適に行けるし、山登りで散々通った土合を抜けたり、群馬や新潟の景色を堪能しつつ本でも読んで弁当食べながらビールでも飲んで…と考えてあえてのんびり行くことにした。

電車は空いていたし、弁当も本もビールも景色も楽しめて、自分好みの旅を堪能できた。水上から先の春っぽい雰囲気の中で見えてくる谷川岳、そして新潟ののんびりとした田園風景と、巻機山や八海山といった山々が本当に美しかったのが特に印象的。

15:00前に新潟に着いたので、駅前のホテルにチェックインして自転車を組んでおく。3人揃ったところでトコトコ歩いて駅近くの銭湯に行って汗を流し、これまた駅前の蕎麦屋で日本酒とそばを楽しんでから信濃川沿いを散歩してホテルへ戻る。蕎麦屋では、縁のある自転車チームのスポンサー、麒麟山を美味しくいただいた。新潟は、米も取れるし、水も美味しいし、美味しいお酒をつくらずにどーするという立地条件ですなという印象。

コンビニで朝食の買出しをしてから解散し、電車で読んでいた本の続きを終わらせようとしたところで眠気が来たので8:00前後に就寝。明日は長い1日なので、しっかり寝ておかなければならない。

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当日は5:00スタートの予定だったので、4:00前から起きて朝食を済ませて準備をする。4:45にホテルの下で集合し、荷物を宅急便で自宅に送ってからスタート。

日本海に出ると、海沿いの道を気持ち良く走れる。天気は曇りで新潟側では雨に捕まってしまいそうだが、今のうちに楽しんでおきましょうということでご機嫌なサイクリングを堪能。越後七浦シーサイドラインのあたりは奇岩が織りなす風景に歓声をあげ、弥彦山のあたりの浜辺に降りて小さなボトルに海水を汲む。水際で思ったように水が組めずに苦戦していたところ、防水装備の親切な釣り人さんが汲んでくれた。感謝!

大河津分水路から川沿いの道に入って日本海に別れを告げる。眼前に広がってきた雪をまとった山々や、広々とした風景に思いっきりテンションが上がる。この区間は信号もなく、追い風気味で走りやすかったので順調にマイレージを稼ぐことができた。

チェックポイントの長岡のコンビニを出ると雨。パラパラという降りかたではないので、上の雨具を着用して出発するが雨脚は強まるばかり。途中からは交通量の多い三国街道を多用するので、サイクリングの楽しさとは無縁の耐える時間が続く。途中から雨具のパンツも着用したけど、すでに濡れてしまっていたのでそれ以上濡れずに済むといった程度のメリットしか感じられなかった。今回の走行で一番キツかったのはこの区間で、越後湯沢あたりでギブアップして新幹線で帰ろうかなと結構本気で考えていた。日本海側を離れれば雨が止むであろうことは分かってはいたけど、雨に降られ続けながら走るのは決して気持ちの良いものではない。

昼ごろに南魚沼の道の駅まで到着したので、レストランでランチ。ちょうどこのあたりでランチの予定だったので、計画通りの時間で進むことができている。ご飯が美味しい豚生姜焼き定食で一息つくことができた。まだ雨は降っているけど、黙々と進んで越後湯沢をパス。このあたりから雨が上がると同時に少しずつ登りの斜度が上がってきた。自分のギアは39×27で他のメンバーよりも2,3枚分重く、ケイデンスを維持して自分のペースで登ると先に行ってしまうので、写真を撮ったりしながら登りをこなす。道幅が広く、交通量の多い山道なので、普段走り慣れている峠の山道とは勝手が違って面白い。何回か出てくるトンネルは長くて道が悪く、車がハイスピードで駆け抜けていくのでちと怖い。苗場を超えると、あとは長いスノーシェードを抜けて三国トンネルに到着して登りが終了。ここでようやく新潟を離れて群馬に入る。

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トンネルを出ると一気に気温が上がり、暖かい太陽が出迎えてくれる。春の瑞々しい若葉の色が山に映える。そう、トンネルを抜けるとそこは春の国であった。快適なダウンヒルを上機嫌で下って行き、後閑駅そばのコンビニで休憩。ここまでで約200kmを走ったことになり、残すは半分の200km。しっかりと補給をして、夜間走行に備えて16:45に出発。ここを5時前に出られれば上々だと思っていたので悪くない進捗状況。三国街道に沿って高崎まで進んだあたりで暗くなってきたのでライトを点灯して進み、そこから南東に向かって児玉を抜けて、小川町へ。新調したCat EyeのECONOM Forceは強力で、街灯の少ない区間でもローモードでほとんどストレスを感じずに済んだ。夕方まではEdge 500をナビとして使い(7年目だけど13時間くらいもった)、夕方以降はEdge 705に切り替えたのだけど、バックライトがタイムアウトしてしまうので首から下げたヘッドランプで照らすか、操作してバックライトをつけないとルート確認ができなくてやや不便だった。自転車用のヘルメットに装着するタイプのヘッドランプがあれば便利だったかもしれない。

ここから先は何度か走ったことのあるルートで、30号で飯能、裏道使って瑞穂、武蔵村山から立川、多摩エリアを抜けて町田に到着してコンビニにピットイン。フレッシュの独自ルールとして最後の2時間に25km以上走らなければならないというのがあり(24時間でより多くの距離をカバーしましょうというのがフレッシュの精神)、すぐに出てしまうとこのルールに違反してしまうのでコンビニで少しゆとりをもって買い物をして、それから南下して江ノ島まで走ってゴール。多摩川を渡った先からは何回か眠気に襲われたけど、休憩毎に摂取していたレッドブルorコーヒーのおかげか、最後まで致命的に眠くなることはなかった。

ブルベ的な諸手続きを終えたあとは、日本海から運んだ水を境川にかかる橋から注いでから解散。

  • 走行距離: 394km
  • 実走行時間: 20時間10分
  • 累計獲得標高: 3,800m (Fenix 3のUltratracモードなのでやや不正確)

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思わぬきっかけからブルベ(の一種)を走る機会に恵まれて、走りごたえのあるルートを無事に完走することができて得難い経験ができた。経験豊富なメンバーから学ぶことも多かったし、自分なりに考えて準備したことも生かすことができたし、限定的な装備(吊るしの完成車、フラぺにランニングシューズ、自転車用ではない普通のスポーツウェア)でも同じように走れてしまう人がいることも新鮮な驚きだった。自分を含む自転車趣味どっぷりな人は、変に知識があったり専用装備の良さを知りすぎているが故に、自転車脳になりすぎているのかもしれないなという気がした。

十分な装備と眠気対策さえできていれば夜間走行はそこまで恐れるものではないなということが分かったけど、正直なところ夜にひたすら走り続けるのは退屈かなという印象を受けた。過去の経験から夜間の連続行動は自分には無理だと勝手に決め付けていたけど、その呪縛から解放されたのは一つの収穫。

…楽しかった!