山は逃げない?

「山は逃げない」というのは、予定していたピークを踏めなかったり、計画を変更・中止せざるをえない状況になった時に登山者が口にする常套句です。

リスクを取ってまでアタックしなくても、山はいつまでもそのままの姿でいるからまた挑戦すればよいさ…というほどの意味で、特にそういった判断を下さなければならない、冷静さを失いがちな状況下においては有効な言葉だなと思います。

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…が、これをもう少し一般的な意味として解釈すると、「山は逃げる」というのが個人的な見解です。

どういうことかというと、物理的に「山は逃げない」のは(多くの場合において)その通りとして、「山に登る個人を取り巻く状況は大いに変わりうる」ということがその最大の理由。たとえば、ピークハンター的な山登りをしている人が、元気でピンピンしていた時分に奥地の山からほんの数時間足をのばすだけでいけたピークに、体力が衰えてから行こうとすることが不可能である…とか、あるいは独身時代に好き放題に好きな登山をしていた人が、結婚して子供が生まれて自由な山登りができない…とか、様々な状況が思い浮かびます。

特にこれを痛感するのは、山登りで何であれ、その活動に一生懸命に取り組んでいる最中であればほんの少しの労力や運の差で手に入れられたであろうものが、一生レベルの宝物になったかもしれなかったことに気づくことが多い(と思われる)人生中盤以降でしょうか。

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自分のスポーツに関するモチベーションの源泉は結果を求めることよりもその時々の状況を楽しむことのようなので、登山にせよ自転車レースにせよ、少なくとも今の気持ちとして登り残した感のある山はそんなに多くないのは幸いなことなのかなと思います。

例えば、仮に今後ロードでの自転車レース活動がゼロになったとして、それでもやっぱり達成してみたかったなと後から思うであろう目標は…

  • ツール・ド・おきなわ 210kmで完走する
  • Tour of FriendshipのOpen Categoryでレースに絡んで走る

あたりでしょうか。ある程度ちゃんと復活すれば達成できそうな目標ですが、自転車の体力レベルがほぼゼロの現状から戻すにはそれなりの覚悟と努力が必要とされる目標と言えそうです。

ロード以外だと、シクロクロスに挑戦してみたいなとか、MTBのクロカンを本格的にやってみたいなとか、色々とイメージはあるわけですが、幸運なことにまだそれらの世界に足を踏み込んでいないので、現実的な目標や欲望に変換されていないのが現状のようです(踏み込んだら最後…ということを身体的感覚として知っているからあえて踏み込んでいないという説もありますが)。

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山登りに関しては、より長い間やってきたこともあり、国内・世界に無数の山や面白いルートがあることもあり、またそれらが具体的な目標として設定しやすいこともあって、本格的な山登りから離れた今になって考えると行きたかったなーと思う場所・ルートは自転車レースの比ではなく沢山あります。とはいえ、沢山あるだけに全部達成するのは無理なのこともはっきりしているので、ちょっと目線を逸らした活動で十分楽しめるようになっているというか、新しいことやったほうが楽しいよねというか、なんだかんだ言って自分はあんまり未練を持たずにいられる性格なようです。

ダラダラと書いてきて何が言いたいのかというと、今まさにその渦中にいて、活動するための環境が整っていて、ベストに近いパフォーマンスが出せる人は、悔いのないようにやり尽くしたほうがよいですよ…というジジイ的意見ということになりそうです。

中島敦曰く

人生は何事もなさぬにはあまりに長いが、何事かをなすにはあまりに短い。

山は逃げない?」への2件のフィードバック

  1. 激しく同意(笑
    競技力が高いうちにやりたいことは悔いなくやって、結果がついてこなくなっても楽しいと思えるような楽しみ方をできるように日々模索中です。自転車は長く続けたいですからね?。

  2. まだまだ山を登れる人は楽しみながら頑張ってください!
    自分はロードバイク乗るとついつい頑張って走ってしまうBUTレースに出る気はない…という中途半端な状態なので、サイクリング仲間を募集中です(笑)。BearBellメンバーはまったり走れない人揃いなので、意識改革が必要ですね!

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