登録選手

2011年から自転車競技に関して「登録選手」という形でやってきているのだけど、それってどういうことなのかなーと改めて考えてみた。

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そもそも登録選手とはなんぞやというと、日本自転車競技連盟(JCF)に競技者として「登録」した「選手」のこと。こう書くとなにやら凄いことみたいだけど、登録するために試験や基準があるわけではないので、登録すること自体は誰でも可能。住んでいる都道府県の自転車競技連盟に申請して登録費を納めれば、登録証(ライセンス)が発行されるので、その年は登録選手としてレース活動を行うことができる。

じゃなんで登録するのかっていうと、「国内で行われている公式なレースに参加するために必要になるから」というのがひとつの理由。各都道府県ごとにある自転車競技連盟(車連)やJCFが開催する「一般カテゴリー」のレースや、JBCFの登録チームに所属してレース活動するためには登録が必須となる。

この「登録」システムは他のスポーツにもあって、たとえば陸上競技の日本陸上競技連盟(陸連)や、テニスのATP(Association of Tennis Professionals)なんかがそう。選手登録をすることで個人を「選手」として認識・管理することが可能になるので、登録した選手のキャリアを公式なものとして扱うことができるようになる。たとえば陸連だったら大会の結果が公式記録として残るし、ATPだったら大会での成績に応じてランキングが発表される。

ロードレース界でも、世界に目を向けるとUCIもワールドツアーという形でランキングシステムがあって、現在のリーダーはツール総合優勝のカデル・エヴァンス。日本で開催されるレースはUCIの中でもアジアツアーに属しているので、例えばツール・ド・熊野のJPTやツール・ド・おきなわの国際レースで完走すれば、UCIアジアツアーのポイントをもらうことができる(=ランキングに載る)。

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海外の自転車レースの現場では、比較的ローカルな大会でもレース参加にはライセンス登録が必要になるようなので、登録が不要なヒルクライムやエンデューロ等のホビーレースが充実している日本の自転車界の現状はある意味特殊なのかも。例えばアメリカでは”USA Cycling”という組織がライセンス管理を行っていて、自転車レース活動をやっていく上ではライセンス登録が必須となるみたい。

特に関東圏ではJCRCやBikeNaviといった組織・団体がシリーズ戦という形でしっかりしたレースを開催してくれているし、それ以外にもたくさんの魅力的なレースが開催されているので、普通のサラリーマンレーサーにとって「登録選手として走る」という選択肢はすぐには浮かんでこないのかな、と思う。少なくとも「レースに出る=登録」ということにはならない感じ。

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で、実際にJBCFのレースに何本か出てみた印象としては、「レースする環境としてはかなり面白いゾ」というのが素直な印象。

「登録選手」とか「実業団」と聞くと、尋常じゃなく本気度の高いレースで、派手な落車をしてフォークやフレームを折ってるような印象(笑)が強かったのだけど、実際に走ってみるとそこまで怖い世界ではないのかな、ということが分かってきた。

JBCFのレースは各都道府県の車連が開催に絡んでいることが多いので、熊野や石川、それに松川や輪島などといった変化に富んだ公道コースを走ることができるのが大きな魅力。実を言うと、自分がJBCFレースを走ろうと思ったのはこれが一番の理由。

それでも、他のレースとの最大の違いはレース参加者の「本気度」だと思っていて、将来ツール・ド・フランスで走ることを目標にしている若者から、忙しい日々の中でトレーニングを積んで上を目指しているおじさんまで、参加者のレベルは全体的に高く、レースにかける思いの強さがレースのレベルの高さ・面白さになって現れているのかなと思う。

さらに、JBCFは「レースを開催すること」に特化しているので、「レースありき」で運営してくれているところも美点の一つ。レースに関する情報は(それなりに)よくまとまっているし、エントリーも(取りまとめてくれる監督さんがいるという前提で)スムーズで、締め切りもレースの2,3週間前で余裕があり、かつ満員になったりすることもない。集中してレースをするための環境としてはよく整備されていると思う。

そうは言っても、地方のレースへの参加には馬鹿にならない遠征費がかかるし、レースのレベルが高いので簡単には上位に絡めないし(下手すると完走もできない)、チームとして参戦する必要があるのでそれなりにしっかりした体制が必要になったり・・・といった現実もある。そういう意味で言うと、やはりJBCFで本格的に闘っていくにはそれなりの覚悟と準備が必要になるということも確か。

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「登録選手」としてJBCFを走る以上、いずれは上位カテゴリーで走れるようになりたい・・・という漠然とした気持ちはあるし、それが多くのサラリーマンレーサーの目標なのかなと思う。と同時に、「魅力的なコースで走りがいのあるレースを楽しむ」という姿勢で付き合っていくのもありなのかな、とここにきて思いはじめた。

出場するのは好きなレースだけに絞って、ベストなコンディションで挑んで楽しめれば(もちろん着に絡めれば最高だけど)よいじゃないか、という感じ。所詮はプロじゃないし、幸か不幸か結果を求められるようなチームでもないので、自分のペースで好きなように自転車競技をやっていくのもアリなのだと思う。

今年は木祖村やJBCFの石川でロードレースの面白さを再確認したので、来年も引き続き登録選手として走る予定。今年はパワーアップに失敗した・・・というか昨年よりも弱い状態でのレース参加になっていたものの、ここにきてようやく昨年並みのパワーが出始めてきたので、残りのレースは高いモチベーションで走りたい。

というか、走る!