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ズイコー夜話 - 桜井栄一

サイエンス・テクノロジー


Title: ズイコー夜話―オリンパスカメラ外史 (現代カメラ新書 (No.86))
Author: 桜井 栄一
Price: ¥ 663
Publisher: 朝日ソノラマ
Published Date:

戦前の日本カメラ産業黎明期から、オリンパスでのカメラ開発・製造に携わってきた著者によるオリンパスのカメラ史。

「オリンパス(「高天原」)」やズイコー(瑞光)の名前の由来に始まり、内外のカメラ産業の発展、そして昭和12年(1937年)に産声を上げたオリンパスのカメラ開発がいかなる経緯を経て現代(といっても古い本なのでOMシリーズの誕生までしか触れられていない)に到ったか、という流れがよくまとまっている。

何よりも驚いたのが、アナログ時代のカメラ開発の速度。アナログ時代のカメラは2,3年というインターバルで製品開発がなされているような印象を持っていたのだけど、毎年のように意欲的な機能を持ったカメラが登場してトレンドが移り変わっていく様は現在のデジタルカメラを見ているかのよう。デジタル時代との違いは、製品としての劣化度が少ないために10年20年という長い時間売り続けることができるロングセラーモデルが存在できることかな。

フィルムの性能が貧弱だった時代や、35mmフィルムが定着して様々なカメラが登場して世を賑わわせていた時代の空気が伝わってきて、大変面白い読書体験だった。