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感染爆発 - マイク デイヴィス

ノンフィクション


Title: 感染爆発―鳥インフルエンザの脅威
Author: マイク デイヴィス
Price: ¥ 1,680
Publisher: 紀伊國屋書店
Published Date:

鳥インフルエンザの「感染爆発」がいかに大きな脅威になりうるかについて論じた本。
畜産産業の工業化と巨大なスラム街の発生、それに世界中を流れる人の動きによって、20-30年前では考えられなかったような形でウィルスが変異を遂げて世界中にばらまかれてしまう可能性について警鐘を鳴らしている。

鳥インフルエンザウィルスの集団感染というと、1997年に東南アジアで発生したH5N1型が記憶に新しいところだけれど、1918年に流行したスペイン風邪(スペインが発生源なのではなくて、当時中立国だったスペインのメディアが真っ先にウィルスの流行を報じたためこう呼ばれるらしい)では、1億人もの人が亡くなったという試算もあるのだそうだ。

特定の宿主に対しては無害で、特定の宿主に対して猛烈に牙を剥き、変異を繰り返しながらずる賢く生き延びてきた鳥インフルエンザのウィルスの存在はまさに驚異的。製薬会社にとって負担の大きいワクチン開発&製造をいかにして推し進めていくか、また、ワクチンが最も必要とされている発展途上国の子供や高齢者達にどうやって行き渡せられるかといったことに関しても、問題提起が行われている。