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食品の裏側 - 阿部司

ノンフィクション


Title: 食品の裏側―みんな大好きな食品添加物
Author: 安部 司
Price: ¥ 1,470
Publisher: 東洋経済新報社
Published Date:

「母親が置いてった本をサクッと読んでしまおう」シリーズその1。

食品添加物をバリバリ売り込んでた人が書いた本。著者は、著者自身が開発に携わった「廃棄寸前のクズ肉を添加物で再生させた」ミートボールが自分の家庭で食されていることにショックを受けて、添加物に対する考え方を根本的に変えたのだそう。世のオバサマにとって、「悪の権化の改心」ほど魅力的なコンテンツはないですナ。

「食品添加物=悪」と言い切るのではなくて、食品添加物が使われるようになった一番の理由は「消費者の要求」であったことがきちんと書かれているところが好印象。「食品添加物を食べたから**が悪くなる」的な問題よりも、食品添加物という「甘え」にすがってしまっている食品業者&消費者双方に問題がある、というのが著者の視点。

あと、いくら「食品添加物」とヒステリカルに騒いだとしても、「食品添加物」の中には何百年の昔から使われ続けているものもあるわけで、それらとの違いは「時という名の洗礼を受けているかいないか」の違いでしかないという指摘もその通りだと思う。結局、人が「便利」「美味しい」「安い」といったものを追い求めている限り「食品添加物」は使われ続けるわけだし、仮にそれらのうちの一部が身体に悪影響を及ぼしていたとしても、長い目で見れば淘汰されるわけだからガタガタ騒ぐことはないんじゃね~かな~、というのが個人的な読後感想。