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ブライヅヘッド ふたたび - イーブリン・ウォー

小説・詩集


Title: ブライヅヘッドふたたび
Author: イーヴリン ウォー
Price: ¥ 2,940
Publisher: ブッキング
Published Date:

Granada TVが制作したドラマが有名なBrideshead Revisitedが映画化されると聞いて、原作を読んでみた。

ノスタルジックに英国貴族の没落を描いた作品かというとそうでもなくて、物語の主軸はあくまで個人や家族にとっての宗教というテーマ(特にカソリック)。主人公のチャールスと、彼にとっての思い出の場所であるブライヅヘッドとそこに住む家族の交流を通じ、この縦軸に絡んでくるのが、オックスフォードでの学生生活や、恋愛や結婚、それに戦争などといった横軸のテーマ。

「ブライヅヘッド」とは、今ではもう失われてしまった場所であり、精神性であったりしたものを象徴した何かで、そういう意味では、この物語は失われてしまった英国を英国たらしめていたものに対するイーブリン・ウォー式の鎮魂歌のようなものであるとも考えられる。

There is no true beauty, without decay.