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一眼レフ戦争とOMの挑戦 - 米谷美久

サイエンス・テクノロジー


Title: 一眼レフ戦争とOMの挑戦―オリンパスカメラ開発物語 (クラシックカメラ選書)
Author: 米谷 美久
Price: ¥ 1,890
Publisher: 朝日ソノラマ
Published Date:

オリンパスが1970年代に売り出して好評を博した小型一眼レフである、OMシリーズの設計者・米谷さんによる本。

「重い・大きい・うるさい」と言われた一眼レフカメラに革命を起こそうと決心し、彼がOMシリーズを世に問うたその心意気&野望。そして新しいものを作り上げることにチャレンジしていった際の苦労がよくまとまっている。

カメラ史の中における一眼レフカメラの立ち位置だとか、日本のカメラメーカーによって次々と成し遂げられたブレイクスルーの数々が取り上げられているので、カメラに興味のある人なら楽しく読むことができる本だと思う。

長らくカメラの王座に座り続けてきた一眼レフの立場が、デジタル技術の進化によって少しずつ危うくなってきている今だからこそ、こういった本は強い意味を持つのだと思う。
ひとつの考え方にとらわれ過ぎず、迷ったときは原点に立ち返って価値判断を行うという、ごくごく当たり前のことがいかに大切であるかを再認識した。

ひとりのエンジニアとして、米谷さんのような意識を持って仕事をし続けた人がいることは、大きな慰みであり誇りであるように感じられた。