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家族の昭和 - 関川夏央

エッセイ・対談


Title: 家族の昭和
Author: 関川 夏央
Price: ¥ 1,575
Publisher: 新潮社
Published Date:

「家族」という名の共同体の解体が急速に進んだ「昭和」にスポットを当てた本。

向田邦子『父の詫び状』、吉野源三郎『君たちはどう生きるか』、幸田文『流れる』といった、昭和の家族像をよく描いた(と思われる)作品と、それが生まれたプロセスをつぶさに眺めることで、それぞれの時代に存在していた家族のあり方のようなものを再構築しようとしている。

幸田文さんに関する部分が個人的には一番面白かった。
親の本棚から「父・こんなこと」や「みそっかす」を借りて読んだ時の記憶がありありと浮かんでくる。共同体としての家族の生活を維持するための「家事」のプロフェッショナルとして、そしてその家族にとっての求心力として機能した人の記録は、何ともいえないリアリティーがあって面白い。

小津安二郎監督の映画に関する記述や、自分が通っていた学校に関する記述もあったりして、なかなか楽しい読書だった。