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潜水服は蝶の夢を見る - ジャン=ドミニック・ボービー

エッセイ・対談


Title: 潜水服は蝶の夢を見る
Author: ジャン=ドミニック ボービー
Price: ¥ 1,680
Publisher: 講談社
Published Date:

最近見た映画の原作本。
フランスの「ELLE」誌の編集長として華やかな世界の第一線で活躍していた著者は、ある日を境にロックトイン・シンドロームと呼ばれる身体全体が麻痺状態になってしまう症状に冒されてしまう。
まばたきだけで"YES"と"NO"のメッセージを発し、特殊なアルファベットを用いて精神的に100%正常な彼のメッセージを汲み取って“書かれた”のがこの本、というわけ。

原題は"Le Scaphandre et le Papillon"(潜水服と蝶)で、潜水服とは彼を物理的に閉じこめている身体的条件のこと。その潜水服とは無関係に、ヒラリヒラリと精神世界・物理世界の間を分け隔てなく飛翔する「心」を蝶に例えている。

映画もなかなか面白かったのだけど、それ以上にこの本は素晴らしいと思った。
潜水服に閉じこめられて、何から何まで自由が利かない状態の中で、周りの出来事を観察する著者の視線はフェアーな優しさに満ちていて、紡ぎ出される言葉は豊かなウィットに溢れている。