女は何を欲望するか - 内田樹
経済学・社会学
Title: 女は何を欲望するか?
Author: 内田 樹
Price: ¥ 1,890
Publisher: 径書房
Published Date:
内田樹さんによるフェミニズム論。
社会活動としてのフェミニズムが下火になってしまった今、フェミニズムという考え方の存在意義を認めつつも、フェミニズム的主張の中でおかしな部分に対して鋭いツッコミをいれている。
例によって、「フェミニズム」という考え方をネタにして、自由気ままに議論が展開されているので、少し冗長的なところもあるけれど、そのあたりも含めて面白く読めた。
「**として読むこと」「**として書くこと」、に関する議論がなかなか興味深くって、フェミニズムとかそういうのを抜きにした普通の文学論として楽しめた。要するに、「ことば」というものは、書いている方も読んでいる方も、その内容に関して常に自覚的ではないのだ、というところに集約されるのだと思う。
「正しそうな」主張や理論には、注意した方がよい。
その主張や理論の虜になった人は、多くの場合においてその「正しさ」の射程範囲を誤認して、その「正しさ」を世界全体に対して適用してしまいがちだからだ、という冒頭の文章は実にまっとうな意見だなぁ、と思った。