説教と話芸 - 関山和夫
文化・芸術
Title: 説教の歴史―仏教と話芸 (白水Uブックス)
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Price: ¥ 1,365
Publisher: 白水社
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明治、大正の頃まで残っていた、お寺における完成された話芸としての「説教」に焦点を当てた本。
浄瑠璃や歌舞伎の元ネタとしての「説教節」の名はよく耳にしていたのだけれど、日本の芸能史において仏教が果たしてきた役割の大きさ再認識させられる読書体験だった。
実践され、生きていた頃の宗教の姿がありありと描かれていて、なかなか興味深い。何だかんだ言って、宗教でも科学でも、冷蔵庫でも洗濯機でも、人によって望まれたものが流行るし、人の欲望や感性に訴えることのできないもの・できなくなってしまったものは、遅かれ早かれ廃れる運命にあるのだと思う。
この本に興味を持ったのは、例によって小沢昭一さんの本。
彼は、著者の方に日本各地を巡って、今もまだかろうじて残っている説教や絵解き曼陀羅の語りの収集を行っていたのだそうだ。
当たり前であったものが当たり前でなくなるのは、あまりにも早い。