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自分探しが止まらない - 速水健朗

経済学・社会学


Title: 自分探しが止まらない (ソフトバンク新書)
Author: 速水 健朗
Price: ¥ 735
Publisher: ソフトバンククリエイティブ
Published Date:

「身も蓋もない言い方をするなら、自分探しの旅とは、現実逃避のことだ」・・・ということをのがこの本の主旨。

ただし、自分探しに没頭して、結果自分を見失ったり、世間から外れて生きている人たちを無闇に攻撃するような本ではなくて、日本の戦後の社会的状況をきちんと汲み取って、「自分探し」という風潮がいかにして生まれて来たか、ということについてしっかりと論じている。

実際、つい最近の自分にも、色々と悩み事があったりして、今の境遇を離れてエクストリームな世界に出て行こうかなぁ・・・なんて漠然と考えたりしていた時期があったので、「自分探し」に没頭する若者とは他人事ではない。

著者があとがきで書いているとおり、自己啓発セミナーのようなところで行われているポジティブシンキングは、ある局面では非常に有効なものだと思うし、身の回りの様々なことに対して、何の疑問も抱かずに生きてしまうことも問題だと思う。

結局のところ、色んな意味で恵まれている自分たちの世代にとって必要なものは、大人の視点を持って、逞しく世の中を渡り歩いていく勇気なのかなぁ、と感じた。