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日本国憲法を生んだ密室の九日間 - 鈴木昭典

ノンフィクション


Title: 日本国憲法を生んだ密室の九日間
Author: 鈴木 昭典
Price: ¥ 2,940
Publisher: 創元社
Published Date:

1946年2月4日から12日にかけての9日間、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部(General Headquarters))の民政局内部で秘密裏に執筆された日本国憲法の草案に焦点を当てた本。

テレビ番組として放映された取材をベースにした本で、実際に草案の執筆に携わった人たちの生の声が沢山入っていて、なかなか興味深かった。
毎日新聞によるスクープに始まり、日本国憲法のベースとなったマッカーサーメモ、それに「1週間で憲法の草案を書け」という無茶な要求に対して粛々と仕事をこなしたメンバー達の苦悩や葛藤。天皇の戦争責任について言及するアメリカ本国や連合国、それにあくまで保守的な態度を崩そうとしない日本政府の間に分け入って、ウルトラC的に草案をまとめあげてしまった当時のGHQ、ひいてはアメリカという国の底力はものすごいものだなぁ、と感じた。

よかれ悪しかれ、戦争後の時代の空気を反映した理想主義的な思想が多分に混じった憲法ではあるけれど、どういう経緯で、どういう人たちの手を介してこの憲法が出来上がったのか、ということを知るには非常によい資料だと思った。さすがに、この本だけだと少し偏ってそうなのでほかに2,3冊読んだほうがよさそうだが・・・。