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株式会社という病 - 平川克美

経済学・社会学


Title: 株式会社という病 (NTT出版ライブラリーレゾナント)
Author: 平川 克美
Price: ¥ 1,680
Publisher: NTT出版
Published Date:

「株式会社」という存在が、どういった危険性を孕みつつ、現代において最も活動的かつ生産的な組織として機能しているか・・・といったことが論じられた本。

特に日本に関して言えば、「株式会社=お家制度の受け皿」という構図は非常に説得力のある説明だと思う。

「会社」とは、投資家にとっての投資先であり利益を生む機関であると同時に、社員にとっての生活の糧を得る場所であり、社会生活の大半を過ごす場所でもある。こういった視点を抜きにして、即物的に会社の「価値」を論ずることは危険を伴う。
会社とは、ひとつの経済的な組織であると同時に、擬人化された組織でもあるのだ。

現代の日本人がいかにして「忙しい」「消費者」となったかの説明として、高度経済成長の時代にがむしゃらに価値を生産していた頃に憧れの的であった「消費文化」への「憧憬」がある、という分析には物凄い共感できた。

沢山の物事について、冷静かつ分析的であろうとする著者の生の声が詰まったよい本。