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陶磁の道 - 三上次男

文化・芸術


Title: 陶磁の道―東西文明の接点をたずねて
Author: 三上 次男
Price: ¥ 2,625
Publisher: 中央公論美術出版
Published Date:

中国製の陶磁が「海の道」を経て世界中へともたらされたことを綴った魅力的な本。

質・量共に優れた9世紀~15世紀の中国製の陶磁がたくさん発見されたというエジプトはカイロの郊外にあるフスタートという遺跡に関する話から始まり、東アフリカやアラビア半島、イスタンブールにメソポタミア、ペルシャ、インド、さらには東南アジア全域まで運ばれた膨大な量の陶磁を通じて、その時代時代に生きていた人たちの逞しい航海や貿易、そして陶磁を愛でた心を鮮やかに浮かび上がらせている。

2000年に復刻された豪華な本を図書館で借りて読んだのだけれど、もともとは新書として書かれたものらしく、新書のままで読んだ方が読みやすかったんじゃないかなぁ、と漠然と感じた。

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陶磁に関しては100%素人なので、素人なりに用語をメモ。

- 白磁
白い胎土に透明釉をかけたもの。
6世紀後半、中国の北斉代から作られるようになった。

- 青磁
青磁釉をかけた磁器。
酸化第二鉄(ベンガラ)を利用し、1200度以上の高熱の窯で焼成される。センシティブな化学反応であるため、歩留まりが悪くその分珍重される。
中国の後漢から西晋の時代に作り方が確立された。

- 釉薬(ゆうやく、うわぐすり)
粘土や灰などを水で混ぜたもの。
陶磁の表面に塗ることで、焼いたときの化学変化でガラス質に変化し、耐水性を増加し見栄えをよくする。

- 染付け
白地の陶磁にコバルトで絵付けをしたもの。
中国では宋代から作られるようになった。