麻薬書簡 再現版 - ウィリアム・バロウズ, アレン・ギンズバーグ
旅行記・写真
Title: 麻薬書簡 再現版 (河出文庫)
Author: ウィリアム バロウズ, アレン ギンズバーグ
Price: ¥ 756
Publisher: 河出書房新社
Published Date:
南米にあるとされる最強の薬「ヤーヘ」を巡って、エキセントリックな小説家、ウィリアム・バロウズと詩人アレン・ギンズバーグとの間でやりとりされた手紙の形をとって書かれた文章群をまとめた本(一部、本物の手紙もある)。
山形浩生さんによる新訳。
徹底的に破滅的な人格を持ったバロウズが南米で感じたあれやこれやがつらつらと書かれており、まっとうな神経を持ってる人には読むのが辛くなる描写も多く含まれている。彼のヤーヘ体験に関する記述は比較的タンパクだが、その7年後にヤーヘを体験したギンズバーグの記述及び彼が見た幻覚はなかなか興味深い。
それにしても、バロウズという人物が色んな意味で興味を惹く人物であることは間違いない。内気で内向的な麻薬中毒のホモセクシャル。酔った挙げ句のウィリアムテルごっこで妻を射殺した男。死ぬまで意味不明な雑文を書き続けた人生には、常に不安定さと死の影がつきまとっていた。
ヤーヘを前にしてひるんでいるギンズバーグを叱咤激励する手紙でバロウズが触れているハッサン・サバーとは、12世紀のペルシャで若者を麻薬を使って殺人者に仕立て上げ、アラムートの砦を支配し続けた人物。彼が残した言葉「何事も真実にあらず、すべては許されている」は、バロウズにとって最も信頼することができる金言だったのかもしれない。