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生き延びるためのラカン - 斎藤環

心理学・精神分析


Title: 生き延びるためのラカン (木星叢書)
Author: 斎藤 環
Price: ¥ 1,575
Publisher: バジリコ
Published Date:

独特の文体(口調?)で、中学生や高校生に語りかけるようにして、ラカンの思想が精神分析にとっていかに「使える」ツールになるかが解説されている本。「日本一わかりやすいラカン入門」を自称するだけあって、非常に読みやすい。

ラカンという名前だけは知っていたのだけれど、コテコテの思想系の人だと思ってたらフロイトの影響を受けた精神分析系の人だったらしい・・・。フロイトが残した精神分析という広大な海を自由自在に行き来し、自分の思想として昇華させることに成功した人がラカンという人のようだ。
一時期ユングにハマって著作集を読みふけっていた自分にとって、ラカンの思想は非常に厳密で、厳密であるがゆえに難解な言葉でズバッと言い切らなければいけないような特性を持っているように感じた。重複した地層の上に言葉を重ね合わせていくような試みは、それを理解する側の人間がその地層を掘り下げていく過程で、言葉が本質的に意味しようとしていることにカチンと出会えることを期待しているのだろう。

この本だけを読んで分かったつもりになってしまうのは危険なので、時間のある時にでも原著にチャレンジしてみようと思う。
非常にエキサイティングで興味深い読書体験だった。