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つっこみ力 - パオロ・マッツァリーノ

経済学・社会学


「反社会学講座」、「反社会学の不埒な研究報告」に続き、相変わらず毒舌冴え渡るパオロ・マッツァリーノさんの本。

この人の本のよいところは、毒をまき散らしているのにも関わらず、絶妙なギャグのセンスで薔薇の香りを残していくところ。題名の「つっこみ力」(なぜ平仮名なのかは、本文を読んでみるべし)とは、世間一般に言う「メディア・リテラシー」というやつで、それをマッツァリーノさん風に緩く、優しく、楽しく、味付けしたものだ。

要するに、メディアに騙されたりするのは情けないけれど、それをお高いところから一方的に言うのではなくて、もう少し興味を持ってもらえるように楽しく言いましょうヨ、というのが主旨。「反社会学講座」などでも実践していたデータを活用したトリックやら、面白おかしい小話が随所に散りばめられているのであっという間に読めてしまう。
「ツッコミ=愛」とまで言い切ってしまっているところに、この本の真の力強さがあるように思う。

よくよく考えてみると、自分も会社のメールを書くときに、自分の意見に自信がない場合はよく「ツッコミ等ありましたらお願いします」なんて書いている。固い言葉で言えば「ご指摘」とか「ご意見」とかなのだろうけれど、どうせエンターテイメントやってる会社なので堅苦しいばっかりじゃつまんないよね、という意識がある。
もちろん、誰かがおかしなことをやっていたら自分も意識的に「ツッコミ」をやるようにしているし、堅苦しくなりがちなメールのやりとりに楽しさを醸し出すには面白おかしげな何かを少しでもトッピングしてあげることが重要なんじゃないかと思った。