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エンデュアランス号漂流 - アルフレッド ランシング

ノンフィクション


素晴らしいノンフィクション。
アムンゼン・スコットによる南極探検に続き、第一次大戦勃発直後の1915年に南極横断を企てた英国人探検家シャクルトンと、その仲間達の記録。

シャクルトン隊が乗り込んだエンデュアランス号は、南極大陸に横断隊を送り出すことができないうちに、分厚い南極の氷の中に閉ざされてしまい、ついには氷によって船を失ってしまう。なすすべもなく漂流する氷の上で冬を越した彼らは、やがて流氷の間に抜け道の生まれる夏にボートに乗り換え、万が一のチャンスを掴むために南極の海に出て行く・・・。

まず、当時の装備の貧弱さに驚かされると同時に、どんな困難に対しても常に果敢なチャレンジを続けていくシャクルトン達の姿勢に本当に驚かされる。絶体絶命のピンチにおいても英国人式なジョークや皮肉を忘れず、必要とあれば感傷的な気分は捨てて犬ぞり用の犬もあっさり殺してしまう。
極限的な状況から全員の隊員が無事に帰還できたのは、沢山の小さなミスを犯しながら大事な局面で常にピンチを防いだ隊長シャクルトンの功績が多いように思われた。多くの希望者から優れた隊員をフィーリングで選んでいった彼のセンスも大したものだと思う。

シャクルトンが出した広告を引用しておこう:
MEN WANTED for Hazardous Journey. Small wages, bitter cold, long months of complete darkness, constant danger, safe return doubtful. Honor and recognition in case of success------Ernest Shackleton.