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南伊予・西土佐の道 - 司馬遼太郎

旅行記・写真


はじめて「街道をゆく」シリーズを読んだ。

松山から南へ下り、宇和島から東に抜けて四万十川の流れる土佐の国に入ったあたりまで。司馬さんらしい、柔らかなタッチと鋭い洞察力、それに圧倒的な知識を楽しめる貴重な読書体験。
なかでも、伊予・宇和島藩に関するあたりは、去年あの辺りをうろついたばかりなだけにとても興味深く読めた。

「宇和島十万石」というわけで、四国の片隅にあって非常に栄えた宇和島藩なのだけれど、伊達政宗の長男でありながら豊臣方の人質としてして育ったために(一説には、正室の子ではないからとも言われる)家を継ぐことができず、宇和島十万石を任された伊達秀宗にまつわる話は面白い。
彼に仕え、民を思いやる政治を行おうとして無惨にも殺されてしまった山家清兵衛が築いた藩の政治の礎が江戸時代を通じて残り、その発展に与したのだそうだ。
ペリー来航から数年後に、「藩だけ」の力で蒸気汽船を作ってしまった、という話もとても興味深い。