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滅びゆく国家 - 立花隆

ノンフィクション


日経BPのウェブサイトに載せていた記事をまとめた本。
ほとんど全ての記事を読んでいたので、あとがきとまえがき、それに全体を斜め読みして読了。

「滅びゆく国家」というショッキングなタイトルにしたのは、立花隆さんがおぼろげに感じている日本に対する危機感だと思う。
”「あの」戦争は暴発した軍部が引き起こした「過ち」だった”という解釈はミスリーディングであり、「あの」戦争は大多数の日本国民によって支持された戦争で、軍部がその国内のムードと同調して一線を越えることにためらいを感じなくなった結果である・・・という意見は、つまり現在においてもなおムードや雰囲気に流されて大きな過ちを犯しかねない日本という国の危うさに対する警鐘なのだと思う。

とりあえず、これから10-20年における日本にとって最大のリスクは、経済的な意味で起きる可能性が一番高い気がする。
車産業を代表として、世界的に確固たる地位を気づいているように見える日本の経済力だけれど、本質的な意味での価値創造をすることにはここしばらく成功していないのではないだろうか。少なくとも、コンピューター技術において日本の置かれている状況はかなりマズい。

具体的にどういった形で日本が大きな失敗を犯しうるのか、ということは見えないけれど、経済的に行き詰ったり下手なプライドを汚されたりするような事件が続いたりすれば、第二次大戦クラスとは言わなくとも政治的・経済的に大きな損失を伴うようなことが起きて国際的信用をなくして・・・という泥沼にはまって実質的に日本が現在からは想像もできないような貧乏国になってしまう可能性は大いにあるのではないか、と思った。