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毎日新聞社会部 - 山本祐司

ノンフィクション


特ダネをものにしようと朝昼晩とかけずり回り、夜は飲み屋で気勢を上げる・・・、そんな「新聞記者」という人々の姿が印象深く綴られている。

戦後すぐのドロドロした時代から、毎日新聞社会部が報道してきた数々の事件や出来事と、それに関係した人々のドラマを書き、著者が活躍し始める70年代からは、著者が接した社会の闇に焦点を当てている。
これらの多くの事件の奥底にアメリカの影がある、という事実は非常に興味深い。戦後の日本において、アメリカは常に日本社会を裏からコントロールし続けてきたように思われる。

著者はもともと児童文学を志していた人だったらしいのだけれど、大学も終わりの1969年に学生運動を学生の立場から報じた毎日新聞に感銘を受けて毎日新聞の記者になることを決めたのだそうだ。

毎日新聞が一貫して貫いてきた「ジャーナリズムの精神に忠実でありつづけること」というスローガンは、現在の日本のジャーナリズムにおいて徹底されているとは思えない。個人的な意見、日本で発行されているような巨大新聞は、特ダネをぬいたぬかれたという「競争」ではなくて、」社会に対して何をフィードバックしていくか」という命題をもっと追求すべきであろうと思った。