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負け犬の遠吠え - 酒井順子

エッセイ・対談


くだらないけど面白い。
なんで面白いかっていうと、著者が洞察力に優れている上にタッチで軽妙で面白いのと、現代的な問題を扱っているから。
さらに、誰しもがついつい反応してしまう「勝ち」「負け」という判断基準をうま~く導入しているのが一番の勝因なのだろう。

結婚・出産をしていない30代女性を「負け犬」と定義するところにこそ、著者がこの本で描きたかった現実が隠れていると思うのだけれど、実際に雄の負け犬候補としてこの本を読むと、共感できる部分が多い。別に悪いことなんてしているわけじゃないけれど、ついつい大人の判断を下せないまま、刹那的に生きていたらこうなって(負け犬化)しまった・・・という状態はほんとうにありふれたストーリーなのだろう。

男性・女性に関わらず、現代の都市に住む人々の生活や精神構造がよく見えてくる面白い本だと思った。